
歯の根の中には、神経が通っているとても細い管があります。虫歯が進んでしまい、虫歯菌が神経に到達したり、根の中の細い管に感染が進んでしまった場合には、その管の中をきれいにお掃除して、感染物質を除去する必要があります。そのような歯の根の治療を根管治療と呼びます。
歯の根の中には、神経が通っているとても細い管があります。虫歯が進んでしまい、虫歯菌が神経に到達したり、根の中の細い管に感染が進んでしまった場合には、その管の中をきれいにお掃除して、感染物質を除去する必要があります。そのような歯の根の治療を根管治療と呼びます。
初期のむし歯であれば、削ってつめものを取り付ければ直すことができます。
しかし、とても深いところまで虫歯に侵されている場合、放置しておくと歯の根にまでダメージを与え、歯を抜かなくてはならなくなってしまいます。
こうした状況を食い止めるため、歯の神経を取り除いて清掃し、そこに薬剤を充填して密閉するのが、根管治療です。
その後、歯の土台を入れ、かぶせものを装着して完了です。
上記イラストは、歯科素材屋さん(出典:(株)コムネット)の利用規約に従い、使用しております。
建物の基礎工事がしっかり行われていないと、その上に立つ建物は崩れてしまいます。
根管治療も同じで、いい加減な根管治療を行った上に、いくら立派な被せものを被せても、決して長持ちしません。
残念なことに、「日本の根管治療は、そのほとんどが再治療」と言われています。
ここで、政府の公表したデータを見てみましょう。
抜髄 | 感染根管処置 | |
---|---|---|
月間(6月)診査分 | 500,387件 | 6,004,664件 |
年間(平成21年)審査分(推計) | 624,709件 | 7,496,508件 |
合計 | 1,125,096件 | 13,501,152件 |
※e-stat政府統計の総合窓口 2010年7月15日公表
歯科関係者以外の方が見てもわかりづらいと思いますので、単純に一言でまとめると、
「10本中6本は治療に失敗している」ということです。
では、なぜこのような現状になってしまっているのでしょうか。
根管は細く曲がりくねったトンネルのように複雑な形状をしており、肉眼で確認することができません。
根管内に少しでも細菌が残っていると、歯の内部に再び細菌が繁殖して再治療が必要になってしまいます。
口腔内は常に唾液の湧き続ける泉のようなものです。
そして、唾液の中には1ml中に10億個の細菌を含んでいます。
根管治療は根管内を無菌に近付ける治療ですから、唾液まみれの状態で治療をするのは非常に難しい、ということになります。
当院では上記の問題点を解決するために、従来の根管治療のみならず、下記の設備を駆使した精密根管治療も行っております。
マイクロスコープとは手術用の顕微鏡のことです。
当院ではペントロン社のマイクロスコープを導入しています。
マイクロスコープがその力を発揮するのが、この精密根管治療です。従来、根管治療は歯科医師の「手先の感覚」のみを頼りに行われてきました。
しかし根管内の複雑な形態は、感覚だけでは攻略できません。
肉眼の3~20倍に拡大した視野で治療を行う事ができるため、ミクロ単位の治療が可能となります。
実際に拡大視野で確認しながら、感染物質を除去することができます。
当院のマイクロスコープは録画機能も付いており、録画した治療の動画をチェアーサイドのモニターで見て頂けます。
根管治療の難しさで書いたように、根管内は非常に複雑かつ千差万別に入り組んだ構造をしています。
根管治療をする際、まずはこの根管の構造を把握する必要があります。
一般的には「デンタルX線写真」というレントゲンで根の構造を把握するのですが、場合によっては歯科用CTを利用します。
レントゲンでは「平面(二次元)」としてしか捉えることができないため正確な根の構造を把握することはしばし困難なことがあります。
しかし、CTを利用すれば、歯の内部を立体的(三次元)に撮影可能であり、根の構造を正確に把握することができます。
根管治療の難しさで書いたように、治療中に唾液の進入を防ぐ事は根管治療を成功へと導くことに繋がります。
ラバーダムとは、治療する歯以外の部分を被うゴムでできたシートの様なものです。
ラバーダムを装着することで、お口の中のいろいろな細菌や、唾液が根管に侵入するのを防ぎ又、根管の中を洗浄する際の薬剤等がお口の中に漏れる事はありません。
人体へのなじみ(生体親和性)に優れ、根の先端や、途中に穴があいてしまった際に使用します。
浸潤麻酔下で歯茎を切開し、マイクロスコープで確認しながら根の先端を少しだけ切り取る手術です。
通常の根管治療では治癒しない難症例に対して行います。
マイクロスコープを用いた精密根管治療では、特殊な道具が数多く使用します。
ここではその一部をご紹介します。
精密根管治療は、使用する材料により保険外治療となる場合があります。
保険診療にした場合、費用は抑えられるものの、治療の選択肢が少なく、根管の洗浄の時間にも限りがあります。
一方、自費診療にした場合は、使用できる器械・材料に制限がなく、しっかりと時間をかけて根管を洗浄できます。
その分費用は発生しますが、丁寧な治療を受けることができ、歯を長持ちさせることに繋がります。
根管治療では、一回の治療に時間をかけて精密な治療を行い、再び細菌に感染させないことがとても大切です。